環境を変える大切さ

2021/01/17 カウンセラーブログ

今日は私が体験し、感じたことを書こうと思います。

 

 

以前、私がよく利用するビルの中に

1人の全盲の方がいました。

 

その方は駅からビルまでの間を

普通なら5分ほどで歩ける距離を

1時間近くかけて歩いていました。

 

1時間かけてやっとビルに到着しても

エレベータを探し、手探りでボタンを押しますが

途中で別の方が下りる予定ではない階でエレベーターに

乗り込んでくると

間違えて違うフロアに降り立ってしまったり、

なかなか目的の場所に到着することが難しい状態でした。

 

私はその方を見かける度に、声をかけ

腕を組んで一緒に目的地までを歩いていましたが、

そういったことを半年ほど続ける中で、

他の方からは、

 

「いい加減、道を覚えたらいいのに」

「学習能力がないんじゃないか?」

「何回もエレベーターに乗られると迷惑」

「本当は目が見えてるんじゃないの?」

などと、悲しい言葉が浴びせられました。

 

ご本人も、もちろん望んで全盲になったわけではなく

色々なことがあり、そうしたハンデを背負って生きている中で

そういった悲しい言葉は、

外出さえも、できなくなるほどに

精神的にしんどくなってしまいました。

 

私はその状況を見て、居ても立っても居られず

その方が駅からビルまでを歩く道のりを聞き取り、

手足で確認ができるような印を作り、

ビルの中にも、エレベーターの中にも

その方が分かりやすいように印を置きました。

 

そういった少しの環境を変化させることで

1人でも安心して移動ができ、

周りからいやな言葉をかけられることもなく、

駅から目的地までを20分ほどで移動できるようになりました。

 

そこで私が思ったのは

本人に何かのスキルや変化を求める前に、

環境として変えられる部分があるのであれば

そこを変化させることによって

生きやすさを手に入れることができるんだ、と。

 

子どもでも大人でも

健常者でも障がい者であっても

生きているすべての人は

環境と個人の相互作用によって困難が生まれているんだ、と

思いました。

 

もちろんどうしても変えることのできない環境や

環境を変えてもすべてが解決するわけではないことも

たくさんありますが、

もし、今後なにかの困難や苦しさに出会ったときは

自分の中だけの視点ではなく、

他人を含む環境にも目を向けてみると

案外、困難を取り除くことができるかもしれません。